アメリカに住むジョン・ムーアは白血病と診断されました。
今回は、そのムーアから採取された細胞に関する所有権を巡る
訴訟についてのお話です。

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ジョン・ムーア事件の全貌とは?

1976年アメリカのシアトルに住む男性ジョン・ムーア(john moore)は、
有毛細胞白血病というとても珍しい血液のがんだと診断されました。

ムーアは病気により、脾臓が20倍にも増大していました。

このままでは、脾臓が破裂する可能性があることから、
白血病治療で定評のあるUCLAで手術・治療を行うことになりました。

ムーアの担当医となったのは、デイビッド・ゴールド(David Golde)でした。

ゴールド医師は、ムーアの脾臓を摘出したのち、血液の数値が正常に戻ったことに驚きました。

脾臓を摘出したのち、ムーアの病気の症状は定期検診・投薬治療が必要だったものの
1996年まで、ほぼ悪化する事はありませんでした。

ムーアの脾臓から採取された細胞

ゴールド医師は、ムーアの脾臓を調べたところ、
白血球の増殖を刺激する一種のタンパク質を産生する独特の血液細胞が含まれている事が判明したのです。

これは後にわかる事ですが、
ムーアの脾臓から採取された細胞には、HIV・がんなどの治療に有効とされる抗体があり
大変、貴重な発見であったのです。

ムーアは、その後、半年ごとに検査を受けにUCLAまで通院していました。
しかし、その検査費用もバカにならず、地元のシアトルで検査を受けられないか相談したところ、
受けられる病院はないと回答され、その後、7年もの間、ロスにあるUCLAメディカルセンターに通い続けたのです。

UCLAの検査に対する不信感

そんなある日、ムーアは、いつもの検査の同意書に誤って「NO」とサインしてしまいました。
ゴールド医師から、すぐに書き換えるようにと連絡が入りましたが、その時にムーアは不信感を抱き、弁護士に相談しました。

すると、ゴールド医師は数々の論文を発表しており、
1977年の「サイエンス」に掲載された論文は、ムーアについての記述だったのです。

ムーアの細胞は新薬開発などには欠かせない細胞であったため、
ゴールド医師は、ムーアの細胞株に特許を取得し、「Mo」と名付けていました。
さらに、ゴールド医師は様々な企業と高額な金額で契約を結んでいたのです。

細胞の所有権を巡って訴訟を起こす

これを知ったムーアは、ムーアは窃盗罪でUCLA側を訴えました。
なお、7年間、その目的を隠蔽されながら血液検査の為に繰り返し来るように求められたと主張しました。

1998年、血液と細胞は自分の所有物であり、
彼らから遺伝子操作された商品に対する利益を共有する権利があるかどうかという事で、世間の注目を集めました。

訴訟の結果

1990年、カリフォルニア最高裁判所は、患者に自分の細胞の所有権を与える事を許す事は、
研究などにその細胞・血液を使った科学者の為の「訴訟宝くじ」を生み出すだろうと結論づけました。

つまり、この判決で、患者の細胞の所有権を認めれば、
ムーアだけでなく、数々の患者が訴訟を起こして、有益な研究などに害を与えかねないと推測されます。

ただし、医師は、患者に対して、それについての利益を開示しなければならないなど
病院側の説明不足に対しては指摘しました。

とはいえ、1991年合衆国最高裁判所は、科学者に利益があるとしても、
患者は自分の体から採取した組織に対する権利は所有していないと結論ずけ、
ムーアの主張は棄却されました。

その後、2001年10月1日にムーアは、56歳で亡くなりました。
(引用元:ワシントンポスト/ロサンジェルスタイムス

ジョン・ムーア事件まとめ

白血病を45歳で患ったジョン・ムーアさんは、治療のために
増大した脾臓を摘出しました。

それにより、ムーアの症状は良くなったものの、
担当医師のゴールド医師は、本人の許可なくムーアの細胞を商用に利用していたのです。

ムーアの細胞には、難病と呼ばれる病気の治療薬などに大変有効な抗体が含まれていたのです。

確かに、将来的に多くの患者の利益となるためには、
患者から採取された細胞を有効に活用する事は仕方のない事です。

ですが、やはり最初から、患者本人には、その件に関して伝えるべきであり、
それを隠しながら、検査を受けさせに病院にこさせるのはどうなのか?と思います。

ただし、患者も善人ばかりではないため、
自分の細胞から利益が生まれたとなると、その利益を共有しろと訴える患者も
多くなることから、この訴訟が棄却された事も理解できます。

ただし、このジョン・ムーア事件では、様々な事を考えさせられる事件だと感じました。


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